「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」を観てきた。
正直言って、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」を観た時点では、「おお使徒の描写がより精密になったな。ああそれも知っているこれも見た。やっぱりエヴァは良いなあ。懐かしいなあ」という程度の認識しかなかった。
ところが、今回の「破」では、「やられた!」と思った。
「エヴァはもういいよ」と思っている過去のファンも必見である。いやむしろ、旧作品群を全て知っている人こそが最後まで見届けるべき作品である。我々が知っていた、「新世紀エヴァンゲリオン」・「新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 DEATH & REBIRTH シト新生」・「新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に」の旧作品群とは一線を画した、21世紀の新しいエヴァ、否、ヱヴァが創られている。
冒頭、いきなり登場するのは新キャラである真希波=マリ=イラストリアスと、エヴァ仮設5号機。
声優の坂本真綾って、どこかで聞き覚えのある名前だなあと思っていたら、「劇場版 空の境界」の主人公、両儀式ではないか! いっきにテンションが上がって爆発するこの声、好きだなあ。
何層にも展開した第10の使徒(テレビ版の第14使徒ゼルエルがモデルと思われる)のA.T.フィールドを次々と破壊していく、2号機での「獣化第2形態」も迫力があった。
何より、何号機でもささっと乗りこなしてしまうのが、旧パイロットたちとは違う所である。
名前が「惣流=アスカ=ラングレー」→「式波=アスカ=ラングレー」に変わったアスカ。そこに、魂を弐号機に取り込まれた後発狂・首吊り自殺した母親の惣流=キョウコ=ツェッペリンの陰は見当たらない。テレビ版・旧劇場版のアスカとは別人のごとく、さっそうと2号機を乗りこなす。
碇シンジに対する好意を、多少率直に表現できるようになったようだなあ。
と思っていたら、それは後に起こる悲劇への伏線であったとは見事である。
テレビ版では鈴原トウジがパイロットであった、3号機にもアスカが乗り込む。3号機はやはりテレビ版と同じめに遭い、第9の使徒(テレビ版の第13使徒バルディエルがモデルと思われる)に寄生・侵食される。テレビ版では誰がパイロットか知らないで「人が乗っているんだ」と使徒と化した3号機攻撃を躊躇する碇シンジであったが、今回の新劇場版の「アスカが乗っているんだ」と攻撃を躊躇するほうが真に迫っている。
しかも、躊躇するシンジに代わって初号機を操るダミーシステムによる3号機破壊の凄まじさ。最後は(テレビ版では握り潰していた)3号機のエントリープラグを噛み砕いてしまう。アスカは救出はされたが、使徒により侵食されてしまった人間の貴重な「サンプル」として「保存」される。何て鬱な展開。
「新世紀エヴァンゲリオン 劇場版 THE END OF EVANGELION Air/まごころを、君に」では、その正体は第2使徒リリスの分身(コア?)であることが示唆される綾波レイ。A.T.フィールドを展開することもできる。
(たぶん2人目の)彼女も、テレビ版よりも素直である。碇シンジと碇ゲンドウを含めた食事会を企画して(3号機実験の日と重なり実現しなかったが)、ゲンドウに思わず承諾させたり、好意を寄せる碇シンジのために料理に挑戦して指が傷だらけになったりする。
と思っていたら、それは後に起こる初号機覚醒への伏線であったとは見事である。
パイロットごと第10の使徒に食われてしまった零号機。「綾波を返せ」というシンジの想いが、一度は捨てたはずの初号機パイロット復帰へ、活動限界に達したはずの初号機起動につながる。
そして覚醒へ。
えーとつまり初号機には、碇ユイと碇シンジと綾波レイが仲良く実体を失ってどろどろに溶け込んでいるという凄いことに……?
とりあえず初見で印象に残ったのはこんなところかな。
己のもつトラウマに苦しみながら、それと向き合いながら生きていく登場人物たちの姿あたりを強調したテレビ版・旧劇場版とは違い、新劇場版では、登場人物同士の、(各々傷を抱えながらも)徐々に深まっていく「絆」のようなものがクローズアップされていると感じた。
碇シンジは、いちいちウジウジしていたシーンがほとんどカットされて、ずいぶん大人に見えるね。アスカの罵詈雑言にも負けていないし、レイとも積極的に交流を深めようとしているし。
真希波=マリ=イラストリアスから碇シンジに向けられた台詞、「ふーん、エヴァに乗るか乗らないかで悩む子もいるんだあ」は、旧作品群への「訣別オマージュ」とでも言うべき象徴であろう。
ところで、私は、映画のエンドロールが始まったとたんにガサガサ席を立って前を横切る馬鹿者はマナー違反だと常々思っているのだが、今回それをやった連中はマナー違反なおかつ「ざまあみろ」である。
エンドロールが終了した後、(たぶんおなじみの三石琴乃さんのナレーションで)テレビ版ファンにはすっかりおなじみの「次回予告」が流されるのだ。
それによると、次回の新劇場版は「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q Quickening」ということらしい。パイロット2名がエヴァと一体化、1名が半使徒化した状態で物語はいったい……? 公開が楽しみである。
参考リンク
「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」公式サイト
どの綾波レイが好きですか? (2009/06/27バージョン)
「新世紀エヴァンゲリオン」シンクロ率鑑定
最近のコメント